食品中に含まれている葉酸は、天然葉酸と呼ばれます。天然葉酸は水に溶けやすく、加熱に弱いため、調理によって成分が失われてしまうことがあります。そのため、葉酸が含まれている食べ物を食べるときは、調理法を工夫して、できるだけ多くの栄養素を摂取できるようにしましょう。

食べ物に含まれる葉酸の量は、食材100gあたりの含有量が表記されることがほとんどです。含有量が多いからといって、たくさんの葉酸を摂取できるとは限りません。1回に食べる量によって摂取できる葉酸の量は変わるので、よく確認しましょう。

食品成分表をもとに、100gあたりの葉酸含有量が高い食べ物をご紹介していきます(※2)。

葉酸の多い食べ物:手軽に食べられる食品5選
葉酸 納豆
葉酸を多く含み、手軽に食べられる食品を5つご紹介します。

たたみいわし

たたみいわしには、100g中に300μgの葉酸が含まれます。カルシウムも豊富で、おやつ代わりに食べられるので、妊娠中におすすめです。高タンパク低脂肪、低糖質なのも嬉しいですね。

焼きのり

100g中に1900μgもの葉酸が含まれる焼きのり。のり1食分は約3gですが、それだけで約60μgの葉酸が摂れます。和食メニューのプラス1品に積極的に取り入れてみてくださいね。

その他にもわかめやあおのり、こんぶなどの海藻類にも葉酸は多く含まれています。

納豆

納豆は1パックで約60μg(100g中120μg)の葉酸を摂取することができます。鉄分やカルシウムも含まれるので、妊婦さんにおすすめの食品です。火を使わずに用意できるのも、忙しいときや暑い季節には嬉しいですね。

レバーペースト

レバーペーストには、100g中140μgの葉酸が含まれています。もともとレバーは苦手という人や、つわりでレバーを食べられなくなる人は多いですが、レバーペーストなら食べやすいですよね。パンやクラッカーに塗って手軽に食べられます。

うなぎの肝

うなぎの肝には、100gあたり380μgの葉酸が含まれています。焼くと栄養成分を失ってしまいまうので、肝吸いにして、溶け出した葉酸も一緒に摂取するのがおすすめです。

ただし、レバーやうなぎの肝には、レチノールと呼ばれるビタミンAの仲間が含まれていて、過剰摂取すると胎児に奇形・先天異常などの障害が現れるリスクが高まるので、食べ過ぎには注意してください(※3)。

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葉酸の多い食材:野菜5選
飲食 枝豆 おつまみ
葉酸を多く含む食材というと、野菜を思い浮かべる人も多いですよね。様々な野菜に葉酸が含まれますが、ここでは特におすすめの5品をご紹介します。

モロヘイヤ

青菜類は葉酸の宝庫ですが、特にモロヘイヤがおすすめです。モロヘイヤは100g中250μgの葉酸を含んでいます。スタミナ野菜としてもおなじみですが、葉酸も豊富で、スープにすることで、水に溶け出した葉酸も余すことなく摂取できます。

煮込まず作れるモロヘイヤスープは、熱に弱い葉酸も効率よく摂ることができる優秀レシピ。葉酸の豊富な卵や、トマト・かぶなど他の野菜を加えてもいいですね。

枝豆

実は枝豆も納豆と同じ大豆で、100g中260μgの葉酸を含んでいます。さやに入っているため、ゆでたときの消失が少ないのも魅力の一つです。冷凍のえだまめをストックしておくと、さっと食べられて便利ですよ。

枝豆のペペロンチーノはさやごと炒めるアメリカンスタイルが人気ですが、さやから出して炒めるレシピもおすすめですよ。

ほうれん草

ほうれん草は、葉酸を摂取できる野菜として代表的な食材で、生で100g中210μg、茹でても100g中110μgの葉酸を含んでいます。鉄分やβカロテンも豊富なので、おひたしにしたり、パスタに入れたりして、食べてくださいね。

ブロッコリー

ブロッコリーは、茹でても100gあたり120μgの葉酸が含まれています。ビタミンCの含有量が豊富なので、妊娠中の風邪予防にも積極的に摂りたい野菜のひとつです。

かぼちゃ

茹でたかぼちゃには100gあたり75μgの葉酸が含まれていて、ビタミンEやβカロチンも豊富です。ポタージュにして冷凍しておくと、すぐに食べられて便利です。美容にも良い食材なので、肌荒れ気味の妊婦さんにおすすめの食べ物です。

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葉酸の多い食材:果物5選
葉酸 いちご
果物は葉酸をはじめ、ミネラルも含んでいるので、妊娠中に積極的に摂りたい食材です。朝食や間食におすすめですよ。糖分が多いので、食べ過ぎには注意してくださいね。

いちご

洗うだけで食べられて、ビタミンCも豊富ないちごには、100g中90μgの葉酸を含んでいます。さっぱりとしているので、つわりのときでも食べやすいですね。

みかん

温州みかんには、100gあたり22μgの葉酸が含まれています。ビタミンCも豊富なので、冬の風邪予防におすすめです。ふさについている白いすじは食物繊維がたっぷりなので、そのまま食べてくださいね。

バナナ

バナナには100g中26μgの葉酸が含まれています。つわりの症状を緩和する効果があるとされるビタミンB6も豊富に含まれているので、つわりの症状がひどい妊婦さんにおすすめです。

キウイ

キウイは、100gあたり36μgの葉酸を含んでいます。ビタミンCや食物繊維、カリウムも多く含まれているので、妊婦さんの風邪予防やむくみ解消に、ぜひ取り入れてみてくださいね。

アボカド

アボガドは、100gあたり84μgの葉酸を含みます。森のバターと呼ばれるほど栄養満点で、ビタミン類やミネラル、食物繊維もたくさん含まれているので、出産後も食べたい食材です。

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葉酸の多い食べ物:その他のおすすめ食材5選
葉酸 ほたて
ほたて

動物性たんぱく質食材の中で特に葉酸が豊富なのは、ほたてです。生のほたてには、100gあたり87μgの葉酸が含まれています。グリーンアスパラも葉酸が豊富なので、ほたてとグリーンアスパラの炒め物やパスタは、葉酸をダブルで摂取できるおすすめレシピですよ。

うに

うには、100g中に380μgもの葉酸を含みます。妊娠中は生ものを避けた方がいいので、焼きうにで食べましょう。

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エリンギ

エリンギは、100g中に65μgの葉酸が含んでいます。血液系のトラブルの改善に効果があるカリウムや、妊娠中に便秘の予防になる食物繊維も摂取することができます。

まいたけ

生のまいたけは、100g中に60μgの葉酸が含まれています。他にも鉄や亜鉛、ビタミンB群、ビタミンD、カリウム、食物繊維といった栄養素が含まれています。カロリーが低いのも、体重管理に気を配る妊娠中には嬉しいですね。

えのき

茹でたえのきには、100gあたり30μgの葉酸が含まれます。ビタミンB1やB2、食物繊維といった栄養素も豊富です。エリンギやまいたけと一緒に鍋にして食べるのもおすすめですよ。

食べ物からの摂取と葉酸サプリの併用が推奨されている
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食品から1日の推奨量を毎日摂取するのも大変ですが、実はそれだけでは足りません。葉酸には食事から摂取できる天然葉酸とサプリメントから摂取できる合成葉酸の二種類があります。

天然葉酸のほうが体に良さそうに聞こえるかもしれませんが、厚生労働省が摂取を推奨しているのは、合成葉酸なのです。その理由は2つあります。

天然葉酸の約半分は体内に吸収されない

厚生労働省によると、食品から摂取できる天然葉酸は水に溶けやすく、加熱に弱く、胃酸によって分解されるとしています。研究結果によると、体内に摂取できる量は食品含有量の25?81%と幅が広いそうです(※4)。

厚生労働省は同調査内で、天然葉酸が体内で使われる率を50%としています。食品に含まれている葉酸は約半分しか体内に吸収がされないのです。

天然葉酸に効果がある科学的根拠は不十分

厚生労働省が運営している健康情報サイト「e-ヘルスネット」によると、神経管閉鎖障害のリスク低減結果が認められたのは合成葉酸のみです(※5)。

もちろんこれは天然葉酸に効果がないという意味ではなく、天然葉酸に効果がある科学的根拠が不十分というだけです。

関連記事におすすめの葉酸サプリをまとめていますので、葉酸サプリを検討中の人や合成葉酸サプリを使っていないという人は、ぜひ参考にしてみてください。

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葉酸は食べ物とサプリから摂ろう
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「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によると、厚生労働省が推奨している妊娠中に食品から摂取する天然葉酸の量は18歳以上女性で1日480μgです。加えてサプリメントから1日400μgの合成葉酸の摂取が望ましいとしています(※1)。

食品から摂ることも効果がないわけではありませんが、厚生労働省はサプリメントから摂ることを推奨しています。妊娠中はもちろん、妊活中や妊娠の可能性がある人は、葉酸サプリの摂取をおすすめします。ただし、厚生労働省は、葉酸の1日当たりの上限摂取量を1,000μg(1mg)としているので、過剰摂取には注意しましょう(※6)。

葉酸サプリを上手に活用しながら、葉酸を含む食べ物も食べて、妊娠中に必要な量の葉酸を摂取していけるといいですね。