妊娠していない時の葉酸の必要量
妊娠していないときの葉酸摂取量は、ほとんどの方が普段の食事などでクリアできているようです。ただし、頻繁に口内炎などの症状が起きる方は、葉酸が不足しているかもしれません。将来的に妊娠を希望している女性の方は、早い段階から葉酸摂取を意識しておくことがベターです。
■妊娠していない時の葉酸の働き妊娠してないときは、女性の美容と健康に不可欠な働きをします。核酸やタンパク質は、その合成のために多くの酵素を必要とします。葉酸はそれらの酵素を助ける働き(補酵素としての働き)で、細胞や粘膜の生まれ変わりをサポートしてくれるのです。具体的には、健康で美しいお肌には不可欠な栄養素と言えるでしょう。このほか、生まれ変わりのサイクルが早い粘膜を保ってくれます。舌や腸の粘膜を健やかにキープするのです。
ちなみに、お酒をよく飲まれる方は葉酸不足の傾向があります。可能な限り、葉酸を多く含む食べ物をおつまみなどにすると良いでしょう。もちろん、1番大切な事はお酒は適量にして、飲みすぎないことです。葉酸不足になると、口内炎など、粘膜に関係する部分に影響が出ますので、目安にしてみてください。
■妊娠していない時の葉酸の必要量とは?女性における、葉酸の1日の推奨摂取量は「240マイクログラム」です。これは、栄養バランスを考えた一般的な食事をしていれば、まず不足することのない量と言えるでしょう。ただし、出来合いの惣菜ばかり食べていたり、生の野菜やフルーツをあまり摂らない方の場合は不足する可能性があります。また、先ほどご紹介したようにアルコールの摂取量が多い方も不足がちな傾向があるようです。
葉酸は、ほうれん草や枝豆、アスパラガス、モロヘイヤほか、いちご、アボカド、マンゴー、ライチなどに豊富です。卵(卵黄)、牛乳、ナッツ類、納豆にも含まれています。それから、お肉ではレバー(肝臓)に豊富なので、スタミナをつける意味でもたまにレバニラ炒めなどは良いかもしれません。これらの食べ物・食材を意識して、不足しないように摂取してください。
妊娠前の葉酸の必要量
「妊娠前」とは、具体的に妊娠を考えていたり、妊娠を計画していたり、妊活中である状態を指します。タイミング次第では、いつ赤ちゃんを授かってもおかしくない時期ですが、この時期は葉酸の摂取量を大幅に増やす必要があります。これについては、厚生労働省からも正式に通知が出ています。
■妊娠前の葉酸の働き妊娠前に十分な量の葉酸を摂取しておくと、「赤ちゃんの先天障害」に対して予防効果が期待できることをご存知ですか?
赤ちゃんの先天障害の1つに「神経管閉鎖障害」というものがあります。胎児の神経管がうまく作られないことで、赤ちゃんに重い障害を残してしまう恐ろしい先天障害です。神経管閉鎖障害は、障害が現れる場所によって名前が変わります。脳に起こると「無脳症」となり、残念ながら多くの場合は死産か短命です。神経管閉鎖障害が脊椎に起きた場合には「二分脊椎」という状態になります。背中にコブがあるように生まれてきて、すぐに手術が必要です。必ずしも命を落とすわけではありませんが、高確率で障害が残ります。
しかし、妊娠前に葉酸をしっかり摂取しておくと、神経管閉鎖障害の発症リスクが抑えられます。これは厚生労働省だけでなく、多くの先進国でも認められているのです。日本では、2000年頃から厚生労働省より「妊娠前の女性は、普段の食事に加えてサプリメントでも葉酸を摂取してください」と通知されています。(*)
ところで、妊娠前とは言っても、具体的にいつから葉酸サプリメントの摂取を始めると良いのでしょうか?目安としては「妊娠の1ヶ月以上前から」となっています。ただし、狙い通りのタイミングにいかないのが妊娠です。「狙いの1ヶ月前から飲み始めればいい」といった思惑は外れがち。いつ授かるか分からない以上、妊娠(妊活)を決意された時から、葉酸サプリメントの摂取を始めたほうが良いでしょう。
参照:厚生労働省 e-ヘルスネット「葉酸とサプリメント ‐神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-002.html
■妊娠前の葉酸の必要量とは?妊娠前女性の、1日の葉酸推奨摂取量は「640マイクログラム」です。非妊娠時の2.5倍程度ですから大変多い量ですね。なお、640マイクログラムの葉酸を食事だけで取ろうとしてはいけません。厚生労働省は、「食事で240マイクログラム」+「サプリメント(や補助食品)で400マイクログラム」という摂取方法をすすめているからです。なぜわざわざサプリメントで摂取しなければならないかと言うと、これは「生体利用効率」が良いからです。つまり、サプリメントには体内で利用されやすい状態の葉酸が含まれているので、万が一の葉酸不足を予防することができるということですね。皆さんも、妊活を始める前にまず「葉酸サプリメント」を購入しておくと良いでしょう。
ちなみに「Japan Environment and Children’s Study)」(JECS)が実施した調査(*)を見る限り、日本人の妊婦さんの90パーセント超が、妊娠前?妊娠初期にかけて葉酸を適切に摂取できていない可能性も考えられます。葉酸の摂取で、防げる可能性も高い先天障害があるのに、これはとても残念なことですね。
(*平成15年?平成20年実施:日本人の妊婦およそ10,000人対象:妊娠約1ヵ月前?妊娠約3ヶ月目までの葉酸サプリメント摂取状況の調査)
妊娠中の葉酸の必要量
妊娠中の葉酸摂取量は、妊娠前ほどは多くありません。しかし、おなかの中の赤ちゃんにすくすく育ってもらうために必要なので、引き続き不足しないように摂取してください。
■妊娠中の葉酸の働きおなかの中の赤ちゃんの成長に必要です。葉酸には細胞分裂を促す働きがありますので、胎児を始め、成長期のお子さんにも不可欠な栄養素となっています。特に、妊娠中期ではまだ、赤ちゃんの体が完全には形成されていません。したがって、葉酸を不足無く摂取する必要があります。一説によれば、妊娠中の葉酸不足は、低体重での出産や、早産の原因にもなると言われています。
それから、葉酸の摂取は「妊婦さんの貧血予防」にも不可欠です。妊婦さんが取り入れた葉酸は、赤ちゃんの成長へ優先的に使われますので、どうしても不足しがちになります。実は、人間の体は葉酸をある程度ストック(貯蓄)しておくことができます。貧血の症状が出ているという事は「ストックしてあった葉酸をすでに使い果たしている」という疑いもあります。ちなみに、鉄分不足も貧血の大きな原因です。鉄も、赤ちゃんの成長に優先的に使われますので「葉酸と鉄を不足しないように摂取すること」を心がけてください。
■妊娠中の葉酸の必要量とは?妊娠中の女性の、葉酸の1日あたりの推奨摂取量は「480マイクログラム」です。こちらは食事だけで480マイクログラムの摂取を工夫しても問題ないようですが、多くの方には難しいのではないでしょうか。したがって「食事で240マイクログラム」+「サプリメント(や補助食品)で240マイクログラム」という摂取方法の手軽で、現実的かもしれません。特に、妊娠初期はつわりがきつくてまともに食事できない方も少なくないようですので、やはりサプリメントを併用した方が良いと思われます。妊娠初期は、胎児の発育にとって大変重要な時期ですから、葉酸の摂取不足だけは避けなければなりません。
産後の葉酸の必要量
産後は葉酸の量を「非妊娠時の頃に戻していいのかな」と思いがちです。しかし、授乳期間が終わるまでは、少し多めに葉酸を摂取してください。母乳で赤ちゃんを育てない方も、産後の体力回復の意味も込めて、多少多めに摂取しておくと無難かもしれません。
■産後の葉酸の働き葉酸は、産後のママの体の回復にも役立つと考えられます。産後に見られることがある脱毛症に対して、その改善を早めてくれる、と考える専門家もいるようです。それから、母乳で赤ちゃんを育てる方は、特に葉酸の摂取を意識されると良いでしょう。ママの摂取した葉酸が、母乳を通じて新生児に届くからです。赤ちゃんの元気で健やかな成長のためには、やはり充分な葉酸を摂取させることが望ましいので、ママがきちんと葉酸を摂るべきと言えるでしょう。
■産後の葉酸の必要量とは?産後の女性の、葉酸の1日あたりの推奨摂取量は「340マイクログラム」です。こちらは食事だけで摂取を工夫しても問題ありませんし、食材などを工夫すれば比較的難しくないかもしれません。ただし、産後の急激なホルモンバランスの変化などにより、胃腸に違和感があったり、下痢をしたり、しばらく吐き気を催したりといった方もいらっしゃるようです。食欲がない、食事の量があまり多くないという方は、サプリメント(や補助食品)を併用してください。赤ちゃんは母乳で育てる方は特に、サプリメント(や補助食品)を利用された方が無難かもしれません。
まとめ
葉酸の摂取量は「非妊娠時、妊娠前、妊娠中、出産後」と4回のタイミングで変化します。まさに「妊娠前後までお世話になりっぱなし」という感じですが、実際にその重要性から葉酸を「赤ちゃんの栄養素」と呼ぶこともあります。ところで、葉酸の摂取量は不足することだけは避けたいのですが、少々多めに摂取する分には問題ありません。具体的には、1日の摂取量が「1,000マイクログラム」を超えなければ大丈夫です。毎日の食事メニューを工夫するとともに、葉酸サプリメントも併用して、赤ちゃんの健やかな成長と、ママの健康を守ってくださいね。
葉酸の機能と働きについて知ろう
葉酸は妊娠中の母体やおなかの赤ちゃんに大切であると言われていますが、具体的にどのような働きがあるのでしょうか?葉酸を多く含む食材や、不足したときにおこる体の状態についてまとめました。
■葉酸成分が妊娠中の妊婦に大切な理由厚生労働省は「妊娠する1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月までは、葉酸をしっかり摂取するのが望ましい」と、妊婦に葉酸の摂取を推奨しています。その理由としては、下記のような点が挙げられます。
・妊娠初期のお腹の赤ちゃんの疾患である神経管閉鎖障害の発症率の低い国で”葉酸”がそのリスクを減らすとの報告がされたこと
・葉酸不足によって神経管閉鎖障害が引きこされる可能性が高いこと
・葉酸を摂取していない米国に比べ、日本での神経管閉鎖障害の発症率が高まっていること
・今後の食生活(外食など)において葉酸の不足を引き起こす可能性があること
また、葉酸は細胞分裂に大きな関わりがある栄養素のため、おなかの赤ちゃんの成長にはかかせません。母体の貧血や安定したメンタルのためにも、葉酸は重要な役割を果たします。妊娠中の女性やおなかの赤ちゃんには大切な栄養素なのです。
■葉酸を多く含む食品葉酸はさまざまな食品に含まれています。特に多く含まれるのは、レバー(牛/100g 1000μg)やうなぎの肝(100gあたり380μg)。そのほか、ブロッコリー(100gあたり120μg)、モロヘイヤ(100gあたり250μg)、ほうれんそう(ゆでたもの100g110μg)などの野菜にも多く含まれます。いちご(100gあたり90μg)、ライチ(100gあたり100μg)、アボカド(100gあたり84μg)などのフルーツにも多く含まれているため、食後のデザートやおやつに食べるのもいいでしょう。つわりで食事ができないときも、フルーツなら摂取できそうですね。
また、朝食の定番・納豆や焼きのりも、葉酸の含有量が多い食べ物です。特に焼きのりは100gに1900μgもの葉酸を含んでいるため、積極的に取り入れましょう。1枚(3g)で57μg摂取できます。
摂取するのに気をつけたほうがいいのは、「レバー」です。レバーには葉酸が豊富に含まれていますが、葉酸とともに妊娠中の過剰摂取に気を付けたいビタミンAも多く含んでいます。摂取量には気をつけるようにしましょう。 レバーを加工して作られたレバーペーストも同様です。
■不足すると妊婦の身体はどうなるの?葉酸が不足すると、口内炎や食欲不振、下痢などの症状が現れることがあります。おなかの赤ちゃんのために、葉酸が多く消費されるため、妊娠時はいっそう不足気味に。意識して摂取することが必要になります。
妊娠時に不足すると、母体にどのような影響が出るのでしょうか。造血作用がある葉酸が不足すると、必要な量の血液を作ることができないため、「巨赤芽球性貧血(悪性貧血)」のリスクが高まります。また、葉酸は精神安定につながる体の精神バランスを整える作用もあるため、不足すると、妊娠中のイライラや不眠、うつなどをひきおこす可能性もあります。
母体だけではなく、おなかの赤ちゃんも葉酸不足の影響を受けます。葉酸はDNA形成など身体の重要な働きを果たすため、胎児の発育が障害を受ける可能性も高くなるのです。前項で説明したように、特に妊娠初期に葉酸不足になると、神経管閉鎖障害のリスクも高まると言われています。
■妊婦はいつごろから摂取したほうがいいの?葉酸は胎児の細胞分裂にも深く関与している栄養素。そのため、できれば妊娠する前から意識して摂取しておくことが大切です。とはいえ、思わぬ妊娠で、気づいたときには妊娠2ヶ月頃に入っているということも考えられます。妊娠2ヶ月頃は脳や脊髄といった大切な器官の神経細胞の約8割が作られるとき。妊娠がわかったら、できるだけ早く摂取するようにしましょう。
葉酸は妊娠している間は継続して摂取したい栄養素です。また、出産してからも、母乳をつくるために多くの血液が必要なので、造血作用がある葉酸は欠かさず摂取したいものです。
■1日の葉酸摂取量は?妊娠していないときに摂取しておきたい葉酸の推奨量は、1日あたり240μgです。葉酸の消費量が増える妊娠時は、1日に摂取したい葉酸の推奨量は「480μg」と倍になります。ちなみに授乳期には1日「340μg」が必要とされています。
妊娠の1カ月前から妊娠3カ月までの妊娠初期の間は、胎児の神経管閉鎖障害の症状が現れるリスクを減らすことを目的に、400μgの葉酸をサプリメントなどから摂取することが推奨されています。妊娠期間中に必要な葉酸は1日当たり480μgですが、妊娠3カ月までの間は1日当たり640μgの葉酸摂取が必要となります。そのうち400μgはサプリメントからの摂取が推奨されています。
効果的に葉酸を取り入れるために覚えておきたい3つの事
おなかの赤ちゃんのことも考えて、せっかく葉酸を摂取するのだから、無駄なく体に取り入れたいもの。食事で葉酸を摂取するときに気を付けたいことについて紹介します。
■食事だけでは十分摂取できないことも妊娠中に摂取したい葉酸は1日480μg。これだけの量の葉酸を摂取するためには、納豆(100g中120μg)であれば8パック(1パックで約60μg)、モロヘイヤなら約200g(100g中250μg)、ブロッコリーなら400g(100gあたり120μg)、アボカドなら600g(100gあたり84μg)、レバーであれば200g(100gあたり250μg)が必要となります。ただし、食事で毎日一定の量の葉酸を摂り入れるのは難しいこともあるかもしれません。つわりなどで、食事がとりづらいときはなおさらです。
■葉酸の栄養素を逃してしまう食べ方って?葉酸は水に溶け、熱に弱い栄養素です。そのため、調理方法によって食材に含まれている葉酸が失われてしまうこともあります。野菜などは水で茹でると、ゆで汁の中に葉酸が逃げてしまいます。そのため、水から茹でるのであれば、味噌汁やスープなど汁ごと食べる料理にして摂取しましょう。「蒸す」「電子レンジで加熱」という調理方法であれば、葉酸を逃さず食べることができます。
また、加熱しすぎると、食材の中に含まれている葉酸が失われます。火を通すならサッと短時間で行うようにしましょう。
■不足分はサプリを取り入れよう葉酸は多くの食材に含まれるものの、毎日、妊婦が摂取したほうがいい量の葉酸を継続して摂取するのはなかなか難しいものです。さらに調理方法によっても葉酸の量が変化するため、実際はどれくらいの量の葉酸を摂取できているかわかりにくいのです。
そんな時、頼りになるのが葉酸のサプリメントです。サプリメントであれば、毎日決まった量の葉酸を摂取することができます。「野菜が苦手」「レバーはビタミンAの過剰摂取が心配」という人にもおすすめです。
■葉酸には2種類があるドラッグストアに行くと、さまざまなメーカーから葉酸のサプリが発売されています。葉酸は大きく分けて、「ポリグルタミン酸型」と「モノグルタミン酸型」の2種類に分けられます。どのように違うのか解説します。
■天然のものと、化学合成品の葉酸の違い食品中に含まれる「ポリグルタミン酸型」と、合成して作られる「モノグルタミン酸型」。この2つの違いは、身体への吸収率です。合成のモノグルタミン酸型の吸収率は約85%と高いのに比べ、食品中に含まれるポリグルタミン酸型は50%以下。同じ配合量でも、身体への吸収率が全く違うのです。そのため、厚生労働省では、モノグルタミン酸型=合成葉酸のサプリからの摂取をすすめています。
食品から抽出した「天然の葉酸」とは?吸収率が高いモノグルタミン酸型の葉酸ですが、その中にも「天然の葉酸」と「化学合成の葉酸」があります。具体的にどのような違いがあるのでしょうか?
「天然の葉酸」とは、野菜や酵母などの食べ物から抽出したポリグルタミン酸型を、特殊な加工によってモノグルタミン酸型に変化させたものが使われています。食べられるものから作られた葉酸となります。価格は化学合成で作られたものよりも、抽出の手間やコストがかかるため若干高めです。また、化学合成のものより味にクセがあるというものもあるようです。
■どのような原料が使われている?天然の葉酸に使われる原料は食べ物。何が使われているかはメーカーによって異なりますが、野菜や果物、酵母などなどの食品から抽出されます。
■化学合成の葉酸とは?天然由来の葉酸は、食べるものから抽出されたもの一方、化学合成の葉酸は、石油や化学物質など食べられないものから作られたモノグルタミン酸型の葉酸が使われています。
■化学合成の葉酸のメリット・デメリット化学合成の葉酸の一番のメリットは、安価であることであること。天然の素材は、季節によって収穫量も一定でなかったり、抽出の手間がかかるため、どうしてもコストがかかります。化学合成であれば石油や化学物質で低コストで作ることができるため、安い価格で消費者に提供することができるのです。
デメリットとしては、安全性の問題が挙げられます。安く葉酸を摂取できるのはありがたいことですが、化学物質を合成して作られた葉酸は、消化・吸収される過程で母体や胎児の肝臓や腎臓などに負担がかかります。特に胎児は臓器が未熟なため、分解ができにくく、体内に残ることも考えられます。そのため、生まれた赤ちゃんが喘息になるリスクが高まるという研究結果もあります。
■使われている原材料って?化学合成で作られる葉酸は、石油由来や化学物質など食べられないものを原料に添加物の力を借りて作ります。
■過剰摂取につながるおそれも化学合成で作られる葉酸は、飲みやすいように粒や量を少なくしたりしているものもあります。1粒中に含まれる葉酸の量も天然の葉酸よりも多いものが多いので、過剰摂取になりやすい可能性もあります。
葉酸のサプリからの摂取量は、1日に最大1000μgとされています。過剰摂取しないように配慮されている商品が多いのですが、安価な商品の中には規定の摂取量をオーバーするものもあります。パッケージやボトルを確認し、1粒にどのくらいの量の葉酸が含まれているのか、1日に何粒飲めば推奨されている量の葉酸を摂取できるのか確認しましょう。
まとめ妊娠中のママやおなかの赤ちゃんのためにも、大切な栄養素である「葉酸」。コンスタントに摂取するためにはサプリの摂取がおすすめです。薬局やドラッグストアなどで販売されている葉酸サプリメントは、すべて吸収率の良い合成葉酸「モノグルタミン酸型」。その中でも食品から抽出されたものが「天然由来」、石油などから合成して作ったのが「化学合成の葉酸」です。おなかの赤ちゃんのためにも納得できるものを選ぶよう心がけましょう。
「葉酸=赤ちゃんのビタミン」葉酸は細胞分裂に関わるビタミンです。妊娠前?妊娠初期においては、胎児の先天障害である「神経管閉鎖障害」(二分脊椎)のリスクを下げる役目を果たします。そして胎児の成長、新生児の成長をもサポートしてくれます。このような重要な働きを担うため、葉酸は「赤ちゃんのビタミン」とも呼ばれています。
なお、葉酸の恩恵を受けるのは赤ちゃんだけではありません。ママの体内の葉酸は、赤ちゃんの成長に優先的に使われてしまうため、ママの貧血の原因となってしまう可能性があるのです。葉酸を十分に摂取しておくことで、母体の貧血予防にも役立ちます。
■葉酸は「他の栄養素」と摂るといい!葉酸はビタミンB群の仲間ですから、葉酸単体で摂取するよりも、ビタミンB群でまとめて摂取した方が良いでしょう。ビタミンB群はまとめて摂取することで、その働きを助け合うのです。その中でも特にビタミンB12は、葉酸と同じ造血作用をもち深い関係があります。このほか、葉酸を活性型に変換して機能するビタミンCも摂ることが望ましいです。さらに貧血予防を考えるならば、鉄分も一緒に摂取すると良いでしょう。
葉酸の多い食品
Getty logo 25b7f2c61b43cc8578dbdb4391bff44f15fecbfdcfd25ce56be1fa24f6dc74a2葉酸を豊富に含む食材は、肉、魚、野菜、果物、乳製品などに至るまでさまざま。つまり食べ物から葉酸を取る手段は数多くあるので、摂りやすい食材をピックアップしてみましょう。
■動物性食品動物性食品のみならず、全ての食品の中で、圧倒的に葉酸の含有量が多いのは「レバー」です。レバーとは「肝臓」のことで、焼き鳥として販売されていたり、焼肉屋さんで選ぶことができるお肉の部位。にわとりの生レバーは100gあたり「1300μg(マイクログラム)」もの葉酸を含有します。この他、牛の生レバーは100gあたり「1000μg」、豚の生レバーは100gあたり「810μg」と、やはり葉酸を豊富に含んでいます。
したがって、妊娠前後の食べ物としてレバー料理はとてもよいです。また葉酸が豊富に含まれているニラも取り入れ、「ニラレバ炒め」などはベスト。(ニラ:生の状態で100gあたり、葉酸100μg)
レバーが苦手な方は、魚介系で葉酸を摂取すると良いでしょう。一例としては、生うに(100gあたり360μg)、たたみいわし(100gあたり300μg)、さくらえび(100gあたり230μg)、しろ鮭のすじこ(100gあたり160μg) 、あわびの塩辛(100gあたり130μg)、かずのこ(生の状態で100gあたり120μg)などに葉酸が豊富に含まれます。
■植物性食品葉酸がはじめて発見された食べ物は「ほうれん草」です。実際に、ほうれん草の生の葉っぱには100gあたり「210μg(マイクログラム)」もの葉酸が含まれます。生のブロッコリーや乾燥切干しだいこん、生パセリの葉っぱ、ゆでた芽キャベツ、油いためにしたアスパラガス(若茎)などにも、ほうれん草と同等の葉酸が含有されています。生のモロヘイヤは、これらよりも少し葉酸の量が豊富です。
しかし、手軽に手に入る植物性食品の中では「えだまめ」が1番でしょう。冷凍えだまめ100gあたりに310μgもの葉酸が含まれます。ゆでたえだまめにも100gあたりに260μgもの葉酸が含まれますから、おやつや間食にもぴったりです。
なお果物の葉酸含有量は、野菜類よりも少ないです。糖分の取りすぎも心配なので、量を食べるのも控えましょう。ただし毎日適量であれば、葉酸を摂取する手段の1つにはなりえます。いちご、パッションフルーツの果汁、マンゴー、アボカドならば、100gあたりに80?90μgもの葉酸が摂取できます。それ以上に葉酸が豊富な果物は、ライチ、乾燥なつめ、ドリアンが挙げられます。中でもドリアンは100gあたりに150μgと、果物の中でもトップクラスの葉酸含有量です。
葉酸と一緒に摂りたい食品
ここでは、葉酸と相性の良い栄養素(ビタミンB12、ビタミンC、鉄)が豊富に含まれる食材を、動物性食品、植物性食品のそれぞれに分けてご紹介いたします。
■動物性食品■ビタミンB12を豊富に含む動物性食品
・しろさけ(めふん) 327.6μg・しじみ水煮 81.6μg・生しじみ 68.4μg・かたくちいわし(田作り) 64.5μg・あさり水煮缶 63.8μg・あゆ(天然、内臓・生) 60.3μg
ビタミンB12を多く含む動物性食品は、魚介類に多いです。しじみの水煮やアサリ水煮缶が入手しやすいかと思います。レンジなどで温めて、ポン酢やドレッシングで少し味付けするだけでも美味しく食べられる点も便利です。
■ビタミンCを豊富に含む動物性食品
・ぶたのショルダーハム 55mg・乳児用調製粉乳 53mg・ぶたのロースベーコン 50mg・ぶたのロースハム 50mg・ぶたのボンレスハム 49mg
ビタミンCを豊富に含む動物性食品は限られています。乳児用調製粉乳を除いては、豚のハムやベーコンにビタミンCが豊富に含まれますが、加熱調理することである程度の割合が失われる可能性が高いです。したがって新鮮な生ハムを口にするか、野菜や果物、あるいはサプリメントなどで補うことを考えましょう。
■鉄を豊富に含む動物性食品
・あわび(塩辛) 33.9mg・やつめうなぎ(干しやつめ) 31.6mg・あさり(水煮缶) 29.7mg・あさり(味付け缶) 27.8mg・あゆ(天然、内臓・生) 24.0mg・ぶたのスモークレバー 19.8mg・あさりのつくだ煮 18.8mg・かたくちいわし(煮干し) 18.0mg
鉄を多く含む食材も魚介類が多いですが、ビタミンB12を豊富に含む魚介類と共通しているものもあります。選び方によっては、豊富な鉄分とビタミンB12を同時に摂取することも期待できます。
(*成分含有量は食材100グラム中)
■植物性食品■ビタミンB12を豊富に含む植物性食品
・あまのり(ほしのり) 77.6μg・あまのり(味付けのり) 58.1μg・あまのり(焼きのり) 57.6μg・いわのり(素干し) 39.9μg・あおのり(素干し) 32.1μg
ビタミンB12は、のりに多く含まれています。のりだけでまとまった量を食べることが難しいですが、普段の食事に取り入れることで、ビタミンB12の補給が期待できます。
■ビタミンCを豊富に含む植物性食品
・アセロラ(酸味種・生) 1700mg・青汁(ケール) 1100mg・乾燥パセリ 820mg・甘味種(生) 800mg・せん茶 260mg・グァバ(生) 220mg・あまのり(焼きのり) 210mg・赤ピーマン(油いため) 180mg・黄ピーマン(油いため) 160mg・めキャベツ(生・結球葉) 160mg・ゆず(果皮・生) 160mg・キウイフルーツ(黄肉種・生) 140mg
ビタミンCは野菜から果物まで幅広く含まれています。パセリのような調味料ほか、せん茶にも豊富ですから、摂り方のバリエーションは大変多いです。
■鉄を豊富に含む植物性食品
・バジル粉 120.0mg・タイム粉 110.0mg・赤こんにゃく 78.5mg・あおのり(素干し) 77.0mg・かわのり(素干し) 61.3mg・ほしひじき(鉄釜、乾) 58.2mg・セージ粉 50.0mg・いわのり(素干し) 48.3mg・乾燥きくらげ 35.2mg
鉄分は調味料に使われるバジルやタイムほか、赤こんにゃく、のり、ひじきなどに多いです。比較的和食の食材ですが、工夫次第では幅広い料理に使うことができるはずです。
(*成分含有量は食材100グラム中)
つわりなどで食事ができないとき
葉酸を豊富に含む食材や、一緒に摂りたい食品をご紹介しましたが、つわりなどがひどい場合には満足に食事をとることが難しいでしょう。最後に、そんなときの対策を確認しておきましょう。
■食べやすいレシピを考えるつわりは吐き気を伴いますが、特定の食材では吐き気が出るが、他の食材では大丈夫の場合があります。まずは自分が無理なく食べられる食材を特定することが重要です。食欲そのものがない場合には、喉越しと消化の良いレシピが良いでしょう。例えば枝豆入りのおかゆにのりを添えて、いちごやキウイフルーツなどをデザートに摂るだけでも、葉酸、ビタミンB2、鉄、ビタミンCが摂取できます。このように、上にご紹介した食材を組み合わせるだけでも、多少食べやすくなります。
■葉酸サプリメントを併用するただし、葉酸を毎日不足なく摂取するには、サプリメントを利用することが確実です。食品に含まれる葉酸は「ポリグルタミン酸」という形で、生体利用効率(体の中で利用される割合)が50%程度です。一方でサプリメントに含まれる葉酸は「モノグルタミン酸」という形に調整されており、生体利用効率が85%程度にまで高められています。葉酸の摂取をサプリメントに頼り切る事は避けるべきですが、サプリメントの方が効率よく葉酸を摂取できることも事実です。妊娠期間中は葉酸サプリメントを常に傍において、上手に利用することが大切です。
まとめ
葉酸の多い食品は、妊娠期間中の胎児とお母さんの健康を守ってくれます。ですが、それだけでなく「一緒に摂ると良い食品=葉酸の働きをサポートする栄養素が含まれて食材」を意識することが大切です。
(参考:「食品データーベース」文部科学省https://fooddb.mext.go.jp/index.pl)
葉酸が不足・過剰摂取するとどうなるの?葉酸が不足することによって起こる症状として代表的なのが、「巨赤芽球性貧血」という貧血です。これは、悪性貧血という呼び名としても知られています。
葉酸が不足すると、細胞分裂がうまくいかなくなり、赤血球が巨大化した状態となってしまいます。赤血球が大きくなってしまうと体中に酸素を運ぶ仕事がスムーズにできなくなり、身体は酸素不足になってしまうのです。この酸素不足により、めまいや立ちくらみ、頭痛などの貧血のような症状を引き起こします。
葉酸不足による症状は、そのほかにも食欲不振や口内炎、下痢などがあります。また、葉酸は過剰に摂取すると、神経障害などが起こることがあります。
鉄分ってなに?
貧血が起きた時に、真っ先に「鉄分不足」が頭をよぎる人も多いはず。そんな鉄分も、妊娠中は特に不足なく摂取しておきたい成分です。ところで、鉄分って体内でどのような役割を持っているものなのでしょうか?次は、鉄分の役割をはじめ、妊娠中に必要とされる理由、不足した時に起こる症状などについてご説明します。
■鉄分の特徴鉄分は、身体の中に酸素を運ぶ役割をするヘモグロビンを働かせるために必要な材料です。つまり、なんらかの理由によって体内で鉄分が不足した状態になっていると酸素がうまく行き渡らなくなり、酸素不足になってしまいます。
鉄分には、体内で吸収されやすいヘム鉄と、吸収されにくい非ヘム鉄があります。
■妊娠中に鉄分の栄養素が必要な理由女性は月経で定期的に出血があるため、もともと鉄分が不足して貧血になりやすいのですが、妊娠中は特に「妊娠貧血」という言葉もあるぐらいに貧血を起こしやすいです。
その理由としては、妊娠中は鉄分が赤ちゃんに優先的に運ばれることが挙げられます。特に、妊娠後期になると分娩に向けて血液の量は増えますが、赤血球の量は増えないため、血液が薄まってしまい、貧血を引き起こすことになります。鉄分は、赤ちゃんの成長のためにも母体の健康のためにも必要な成分なのです。
■鉄分を多く含む食物鉄分を多く含む食べ物として有名なのは、レバー。レバーであれば牛・豚・鶏とどれにも含まれていますが、特に鉄分の含有量が多いのは豚レバーです。そのほかには、赤身の肉や魚、貝類といった食材があります。
また、ほうれん草や小松菜などの野菜、ひじき、大豆といった食品にも鉄分は多く含まれていますが、吸収力は肉や魚に比べると劣ります。鉄分の吸収率はもともと他の栄養素と比べても低く、特にこれらの食品による鉄分吸収率はわずか約5%です。ちなみに、レバーなどの動物性食品では約23%となっています。
もしも肉や魚以外の食材から鉄分を摂取する場合には、動物性たんぱく質とビタミンCを一緒にとるようにすると吸収力が良くなります。
鉄分が不足・過剰摂取するとどうなるの?鉄分が不足して、体内で酸素不足になってしまうと、動悸やめまいなどの貧血の症状が出るようになります。また、血行不良の状態になることから手足のむくみや肩こりなどの症状が気になることもあります。
そのほかには、「頭がうまく働かない」といった記憶力や思考力の低下や、注意力の低下が起こるほか、瞬発力や持久力などの運動力も低下します。精神面でも、イライラしたり憂鬱な状態に陥りやすくなります。
酸素不足が深刻な状態にまでなると、心臓に負担がかかり、呼吸困難を起こしたり脳に悪影響をおよぼす恐れもあります。
鉄分を過剰に摂取した場合には、胃腸に不調が起こることがありますが、鉄自体はもともと体内に吸収されにくい成分。普段の食事で鉄分を過剰摂取してしまうことはまずないと考えてよいでしょう。
貧血の症状には葉酸・鉄分どっちが必要?
葉酸・鉄分は、不足することで酸素が身体に行き渡らなくなり貧血を引き起こしてしまうことが共通しています。つまり、日常生活の中で貧血の症状があらわれた時には、どちらかが不足しているということになります。それでは、貧血になった時には葉酸と鉄分のどちらを摂取すると良いのでしょうか。症状でどちらが不足しているのかを特定する事はできるのでしょうか?次は、貧血の症状にどちらの成分が必要になるかについてご説明します。
■貧血には種類があるまず、「貧血」とひとくくりにしていても貧血には様々な種類があります。その中で、葉酸が不足していることによって起こる貧血が「巨赤芽球性貧血」、鉄分が不足していることで起こるのが「鉄欠乏性貧血」です。どちらも、めまいや立ちくらみ、動悸、倦怠感などといった症状が見られます。
■必要な成分は貧血の種類・原因によって違う「巨赤芽球性貧血」は、葉酸が不足することによって赤血球が通常よりも大きくなってしまい、酸素がうまく運べなくなってしまい、貧血となっている状態です。この場合は、不足している葉酸を摂取すれば症状が改善します。
「鉄欠乏性貧血」は、鉄分不足によって赤血球の働きが悪くなった状態です。酸素が体内に行き渡らなくなるため、身体のあちこちで酸欠のような状態になってしまうのです。この場合、鉄分不足が原因となっているため、鉄を摂取することで症状がおさまります。
どちらが不足しているか、どちらの成分を摂取すれば良いのかについては症状だけで判断することは困難で、残念ながら病院で血液検査をするといった方法以外では分かりません。ただし、貧血の多くが「鉄欠乏性貧血」と言われています。そのため、貧血の症状が出た際にはまず鉄を摂取してみて、それでも症状が改善されない場合に葉酸不足を疑い、葉酸の摂取を試みると良いでしょう。
葉酸・鉄分をバランス良く摂取するには
葉酸と鉄分は、どちらも摂取することが大切。どちらも不足しないためには、やはりどちらもバランス良く摂取できるように日頃から工夫することが必要です。次は、葉酸・鉄分をバランス良く摂取するために心がけたいことについて触れてみましょう。
■食事のレシピに鉄分が入っているか気を配ってみる葉酸はほうれん草・ブロッコリー・レバー・納豆などに含まれています。鉄分は、レバーや魚介類などに含まれます。
日頃から鉄分がきちんと含まれているような葉酸食事レシピを心がけておくことで、不足の予防につとめると良いでしょう。
【医師監修】妊婦の「鉄分」摂取ガイド【1日の摂取量からレシピまで】妊婦さんにとって、重要な栄養素の1つが鉄分です。今回は、1日の摂取量を始め、鉄が大切な理由、鉄が多い食物や具体的なレシピもご紹介します。
■サプリメントを活用する食事の栄養だけで不足成分を補えれば良いのですが、食品の好き嫌いがあったり、日頃から忙しくてレシピに気を配っている余裕がないという人も多いはず。そんな時には、専用のサプリメントを上手に活用するのがおすすめです。
■鉄分と他のサプリメントの同時摂取はいいの?サプリメントは、それぞれ必要摂取量を守っていれば同時摂取に関しては特に問題はありません。むしろ、不足していると感じた成分があった場合には同時に摂取してしまう方が効率的と言えるでしょう。
まとめ葉酸も鉄分も、妊娠中はもちろん普段の生活の中でも不足することを防いでおきたい必要な栄養素。食事だけでは不安な時には、サプリメントを活用するのもおすすめです。サプリメントの同時摂取もOKであるのも、助かりますね。
妊娠前後の女性に重要な葉酸とは?
■葉酸とは?葉酸は水溶性ビタミンの一種で、ビタミンB群の仲間です。20世紀前半にほうれん草から発見されたため「葉っぱの酸=folic acid」と名付けられ、「葉酸」という名称の由来となっています。そんな葉酸の重要性は近年、欧米から発信されることとなりました。具体的には、妊娠前の女性?妊婦が十分な量の葉酸を摂取することで「赤ちゃんの先天障害(神経管閉鎖障害)のリスクが低減できる」ということが判明したのです。2000年前後からは、厚生労働省からも国内の妊婦さんに同様の勧告をおこなっています。なお、葉酸は偏食気味の方や、お酒をよく飲む方の場合は不足することがあるようです。このような人で、なおかつ妊娠を考えている場合には、より注意して葉酸を摂取する必要があります。
■妊娠中に必要な栄養素葉酸は、妊娠前後の女性にとって最も重要な栄養素の1つといえます。実際に、葉酸には「赤ちゃんのビタミン」という異名があるほどです。
さて、そんな葉酸をより良い状態で摂取するためには、他の栄養素もバランスよく摂取する必要があります。先ほど、葉酸がビタミンB群の仲間であることをお伝えしました。「ビタミンB群」は、それぞれ個別に摂取するよりも、まとめて摂取することで互いをサポートし合って働きます。また、葉酸を体内で働ける状態(活性型変換)にする上で「ビタミンC」が大変重要な役目を持っています。これらは、葉酸の働きを支える上で、妊娠中にもしっかりとした摂取が必要な栄養素と言えるでしょう。
■妊娠前後の女性が葉酸を摂取する重要性3つ妊娠前後の女性が葉酸を摂取する重要性は、以下のような点になります。
■胎児の神経管閉鎖障害のリスクを低減!妊娠の最低1ヵ月以上前から、充分な量の葉酸を摂取することで「神経管閉鎖障害」という胎児の先天的な障害のリスクが低減できます。神経管閉鎖障害をもって生まれた場合、生後すぐに手術が必要となることがありますが、さまざまな障害が残る可能性も高いと考えられています。中でも、無脳症の場合は流産や死産になる割合も高くなります。
■胎児の成長をサポート!葉酸には、細胞増殖をサポートする働きがあるため、胎児の成長にとって重要です。産後の赤ちゃんは、母乳やミルクを通じて葉酸を得ます。
■妊娠中の貧血を予防!葉酸は「造血作用」を持っており、赤血球の合成を助けます。これにより、妊娠中の貧血予防にひと役買っているのです。妊娠中に貧血が起きた場合は、鉄分とともに葉酸不足を疑う必要があります。
なお、葉酸は妊娠の1ヶ月以上前?授乳中まで、非妊娠時よりも多めに摂取する必要があります。厚生労働省が公表する「日本人の食事摂取基準2015年版」によれば、妊娠していない18歳以上の女性は、「1日240μg」の葉酸を摂取することが推奨されています。
妊娠の可能性がある女性・妊娠計画中の女性、また妊娠初期の女性は、栄養補助食品などからさらに400μgの葉酸の摂取が推奨されています。また、妊娠中期以降の女性は非妊時より+240μg、さらに授乳中の女性は、非妊娠時より+100μg多い葉酸の摂取が推奨されています。
葉酸を含む食品とサプリの比較
■葉酸を含む食品と成分葉酸は、動物のレバー(牛・鳥・豚)に豊富です。しかし、肉類のみならず、魚介類や野菜、果物など大変多くの食べ物の中に含まれています。以下、葉酸が豊富な食品をご紹介します。ただし、レバーを食べるとビタミンA(レチノール)過剰摂取になる可能性があり、妊婦の1日摂取量の上限を超えることがあるので、あまりお勧めしません。どうしても食べたいなら少量にしましょう。
・魚介類、海藻類たたみいわし、桜エビ、海苔、煮干し、しらすぼしなどに葉酸が豊富です。
・野菜ほうれん草、乾燥切干しだいこん、ブロッコリー、菜の花、パセリ、ゆでた芽キャベツ、枝豆、モロヘイヤなどに葉酸が豊富です。
・果物ライチ、なつめ(乾燥)ほか、いちご、ラズベリー、さくらんぼ、すもも、マンゴー、アボカドなどに葉酸が豊富です。
・卵(卵黄)、チーズ(加熱殺菌されたもの)
■葉酸サプリの種類と成分葉酸の成分は以下の2つに分けられます。
・ポリグルタミン酸:食品に含まれるそのままの葉酸・モノグルタミン酸:サプリメントや強化食品へ配合されるために成分調整された葉酸
すでにご覧いただいたように、サプリメントに配合されている葉酸は「モノグルタミン酸」です。「成分調整されたモノグルタミン酸って、妊娠中に飲んでも大丈夫?」…そんな心配をするママもいることでしょう。しかし、食品に含まれている葉酸(ポリグルタミン酸)は、体の中でモノグルタミン酸へと変換されてから身体に吸収されるのです。したがって、成分調整されているとは言え、ママや赤ちゃんに悪影響を及ぼすことがありません。それよりも「サプリメントの原料が何なのか」を心配すべきです。以下、葉酸サプリメントの原料です。
原材料にこだわる方もいらっしゃいますが、そのまま吸収されるモノグルタミン酸か、不安定で吸収率も減るポリグルタミン酸かどうかもとても重要です。吸収率の点で、やはりモノグルタミン酸型の葉酸サプリメントでの摂取が推奨されます。アメリカをはじめとする80か国以上の国では穀物に葉酸の添加が義務付けられています。
日本人の妊婦では必要最低限な葉酸摂取量に達している方がわずかであるというデータもあり、二分脊椎で生まれるベビーが1万人に5人程度、年間500人~600人いるそうです。海外では穀物に葉酸を添加されるようになってから随分と発生率が減っているそうですが、日本では横ばいです。妊娠前から葉酸をとっていると70~80%リスクを減らせると言われています。二分脊椎などの神経管閉鎖障害では歩行障害や排便・排尿障害などが生じることがありますし、死産になることもあるので、なるべく予防したいですね。
なお、葉酸だけ摂っていても細胞はつくられません。ビタミンB12をはじめとしたビタミンB群やマグネシウムなども一緒に働くので、ビタミン・ミネラルも一緒にとりましょう。たんぱく質も不足していると細胞をつくることができないので、葉酸だけでなくしっかりと十分な食事をとりましょう。
安心して葉酸を摂取する為に
■サプリをすすめる理由妊娠前後の女性に葉酸サプリメントをおすすめする理由は以下の3つです。
①厚生労働省がすすめているから妊娠前の女性は1日に440μgの葉酸を摂取する必要があります。これは、通常の2倍以上の量です。食事だけで摂取することがなかなか難しいと言う事情もあり、厚生労働省では「サプリメントや強化食品の形で葉酸を摂取すること」を推奨しています。
②妊娠中の摂取量が2倍になるから妊娠中の葉酸摂取量は、1日に480μgですが、非妊娠時の2倍です。つわりで、満足な食事の用意ができないこともありますから、やはり葉酸サプリメントを常備しておくことが安心といえます。
③「生体利用効率」が良いから食品に含まれるそのままの葉酸(ポリグルタミン酸)は、体の中に摂り入れられても半分以下しか利用されません。しかし、サプリメントで「モノグルタミン酸」を摂れば、なんと85%も利用されるのです。つまり、サプリメントでの葉酸摂取の方が「生体利用効率が良い」わけですね。おまけに妊娠中のつわりや食欲不振の時でも、水で簡単に飲むことができます。
■サプリ摂取の注意点葉酸サプリメントの飲み過ぎにご注意ください。1日に1,000μg以上の葉酸を摂取すると、神経障害や皮膚炎、じんましん、熱といった悪影響が出てくると考えられています。
まとめ妊娠前後の女性にとって、最も大切な栄養素の1つ「葉酸」。妊娠前後の女性は、通常の何倍もの葉酸を摂取しなければなりませんが、食事だけで摂ろうとすると大変です。つわりや胃痛、食欲不振できちんとご飯が食べられない日もあることでしょう。そんな時にも、葉酸サプリメントは大変心強い味方です。妊娠前後の葉酸不足は、ママと赤ちゃんに重大な悪影響及ぼす危険性もありますので、ぜひとも良質な葉酸サプリメントを常備してください。
妊娠前の葉酸摂取の意味
妊娠前に葉酸を摂取するメリットとして1番に挙げられるのは、「赤ちゃんの先天的な障害リスク」を防いでくれること。また女性の血行・貧血改善も期待でき、妊娠の成功率を上げると考える専門家もいます。
■赤ちゃんの障害を防ぐ残念なことですが、すべての赤ちゃんが健康な状態で生まれてくるわけではありません。特に生まれつきの障害は、事前に対策できることがごく限られています。しかし、妊娠初期までの充分な葉酸摂取によって「神経管閉鎖障害」(二分脊椎)という障害はリスクの軽減が期待できます。厚生労働省をはじめ、各国からも認められています。
■着床?妊娠しやすくなる可能性もある精子が卵子にたどり着くことを受精と言いますが、これはまだ妊娠とは言えない状態です。妊娠とは、受精卵が子宮内膜にきちんと根を張る「着床」、そして細胞分裂を経て、初めて成立します。葉酸は子宮内膜の強化に働き、着床をスムーズにするとともに、着床した受精卵の細胞分裂をサポートする働きが期待できます。葉酸の摂取により、着床・妊娠しやすくなるとも考えられています。
葉酸で着床しやすくなる可能性がある
着床前後はホルモンバランスの変化などもあり、体からさまざまなサインが出ます。頭痛や微熱、倦怠感のほか、肌トラブルやおりものに変化が見られたり、精神的に不安定になるケースもあります。妊娠3週目程度までですが、その間は検査薬でも反応が出ないため、妊娠の可否を正確に判断することは難しいと言えます。着床は排卵から1週間程度でおこなわれますが、その間、受精卵の細胞分裂には充分な量の葉酸が必要となります。
着床?妊娠のタイミングを把握することはほぼ不可能です。そのため日頃から十分な量の葉酸を摂取しておくことが重要となります。
■葉酸で着床しやすくなる仕組み葉酸をきちんと摂取しておくことで、子宮内膜を着床しやすい状態にしたり、受精卵が育ちやすい子宮環境を整えることが期待できます。葉酸には細胞の分裂や増殖をサポートする働きがありますが、これが、着床しやすい子宮内膜を作ると考えられます。具体的には子宮内膜に厚さと柔軟さが生まれることで、受精卵が付着(着床して根を張ること)がしやすくなるわけです。
さらに葉酸がもつ細胞の分裂・増殖をサポートする働きは、着床後の受精卵が成長するためにも不可欠です。さらに葉酸には造血作用(赤血球の生成をサポートする働き)があるため、子宮の血行も良好な状態となります。そのため、酸素や栄養がきちんと運搬されることで、受精卵のスムーズな成長へとつながることが期待できます。
■男性にとってもプラス?着床をするためには、精子と卵子が出会って受精しなければなりません。しかし正常な精子の量が少ない状態の場合は、そもそも受精すら叶わないケースが考えられます。ただし、せっかく受精?妊娠しても精子に染色体異常などがあった場合、赤ちゃんの先天性障害や流産などの原因となる可能性が出てきます。
実際に、不妊の原因の半分程度は男性側にあるという指摘もあり、不妊の男性の9割が精子を作る機能に問題があるとも言われています。男性も日頃から葉酸をきちんと摂取することで、細胞の分裂・増殖が充分におこなわれ、正常な精子の数のキープ・増強を期待することができます。実際にオランダで行われた研究では、葉酸と亜鉛を毎日摂取することで、正常な精子の数が増加したという結果も出ています。
このように葉酸の摂取は、男性にとってもプラスな点が多く期待できます。妊活中はパートナーの女性と一緒に、葉酸を摂取することが望ましいでしょう。
赤ちゃんの障害を防ぐ
「神経管閉鎖障害」や「二分脊椎」(にぶんせきつい)という、赤ちゃんに起こりうる先天的な障害を知っていますか? 葉酸の摂取がこの先天的な障害のリスクを大幅に低減します。これらの障害が起こりうるタイミングは、妊娠のごく初期の段階なので、その時期に葉酸を充分に摂取しておくことが重要です。
■葉酸不足で赤ちゃんに生じる恐れがある障害葉酸が不足した状態だと、赤ちゃんの成長に悪影響与え、先天的な障害の原因となる可能性があります。特に、胎児の脊髄神経が収まる「神経管」は、受精からわずか4週間程度で形成されますが、形成がうまくいかなかった場合には「神経管閉鎖障害」となります。神経管閉鎖障害には「二分脊椎」と「無脳症」が含まれますが、無脳症は死産のケースも多いです。二分脊椎の場合は、いずれも生まれてすぐ手術が必要ですが、後遺症が残る可能性も高いです。
■サプリでの摂取を国も推奨二分脊椎は、先天性障害の1つですが、これは「発生率を下げることが期待できる、唯一の先天性障害」とも言われています。そして、発生率を低下させる手段こそが「葉酸を摂取すること」なのです。
厚生労働省は21世紀初頭から、妊婦の葉酸摂取の必要性について告知するようになりました。欧米では一足早く、二分脊椎に対する葉酸の有効性が認められ結果を出していたため、それを受けてのことです。現在、日本では妊娠前の女性(妊娠計画中、もしくは妊娠の可能性ありと思われる女性)は「1日に400マイクログラムの葉酸を付加的に摂ることが望ましい」とされています。
なお「付加的に」とは「食事から摂取する葉酸の量に、さらに付け加えて」という意味で、具体的には、サプリメントや強化食品で葉酸を摂取することを推奨しています。
また、食事で葉酸を摂取する方法を考える人もいると思いますが、葉酸は熱に弱く、調理で約半分が分解されてしまいます。また水にも溶けやすいため、簡単に減少します。したがって「葉酸を豊富に含む、生野菜などを350グラム以上」を毎日摂取するのはなかなか難しいことです。加えて生野菜の食べ過ぎが体を冷やすことにつながると指摘する専門家もいますので、サプリメントで摂取するのがおすすめです。赤ちゃんへの安全性を考えるならば、天然原料(食品由来)で、食品添加物がなるべく含まれていないものをサプリメントを選ぶと良いです。
妊娠前に摂るべき葉酸の量
「妊娠前に摂るべき葉酸の量」が厚生労働省からはじめて通知されたのは、2000年末頃と言われています。葉酸の具体的に推奨されている量をチェックしていきましょう。
■推奨量は640マイクログラム妊娠前後は、葉酸の摂取量を通常よりも増やす必要があります。その中でも、妊娠前の摂取量が最も多くなります。
通常、女性の場合には240マイクログラムの葉酸を、食事から摂取することが推奨されています。一方で妊娠を希望する女性や妊娠の可能性がある女性は、400マイクログラムの葉酸を摂取するように推奨しています。先ほどもご紹介しましたが「付加的に」とは「食事以外に、サプリメントや強化食品で葉酸を摂取すること」を指します。厚生労働省が推奨する基本的な方針となっています。
つまり、食事(240マイクログラム)と、サプリメント・強化食品(400マイクログラム)で「合計640マイクログラム」の葉酸を1日に摂取することが推奨されています。
■いつから摂ったら良い?妊娠の1ヵ月以上前から摂取することが、望ましいと考えられています。その理由として、先天異常が多くのケースで、妊娠直後?妊娠10週以前に起きており、特に中枢神経系(注:神経管閉鎖障害など)については妊娠7週未満で起きているかです。つまり「妊娠したかも?」と感じた頃にはすでに、対応が遅いということになります。
排卵日を正確に予測することが難しい以上、狙った時期に確実に妊娠するという事は不可能です。さらに、妊娠の超初期については検査薬も反応しないので、妊娠が判明した時期から葉酸を摂取するのでは間に合わない、ということになります。したがって妊活中の女性ならば誰でも「1日640マイクログラムの葉酸摂取(食事とサプリメント・強化食品)」をはじめることが必要と考えられます。
■「摂りすぎ」に気をつけて!葉酸は「1日に900?1,000マイクログラム」までは、摂取しても問題ないと考えられています。しかし、通常の食事だけでこれだけの量を摂取することはほぼありえないため、安心してください。つまり食事によって葉酸を摂りすぎることはほぼないと言えるでしょう。
しかし、注意しなければならないのはサプリメントの摂取です。サプリメントは食事よりも生体利用効率(体の中で使われる割合)が高く、過剰摂取することも可能となります。しかし、耐用上限量を超えた葉酸を摂取し続けると、内臓へのダメージや、吐き気、神経障害など体にさまざまな悪影響与えることが考えられます。
葉酸は妊娠前後の女性にとって、とても心強いビタミンです。ただし推奨量を大きく超えて摂取したからといって、効果が増すわけではありません。サプリメント(もしくは強化食品)の摂りすぎだけは、充分にご注意ください。
まとめ
妊娠前後の女性は、食事や栄養バランスで悩むことでしょう。実は妊娠前?妊娠初期までは、食事や栄養バランスも、通常時とほとんど変わりません。そのような中で唯一、厚生労働省が「妊娠前からの摂取」を強く推奨している栄養素が「葉酸」です。神経管閉鎖障害のリスクを低減させる働きを、国も正式に認めていて、その摂取を推奨しています。
妊活中の方は毎日の不足ない葉酸摂取を心がけ、妊娠を計画中の女性は「妊娠の少なくとも1ヵ月以上前」から、葉酸サプリメント(あるいは強化食品)を飲み始めるのがベターです。
妊娠中の葉酸摂取の意味
妊娠前からの葉酸摂取は「サプリメントも併用して飲んだ方が良い」と国は推奨しています。葉酸の摂取によって「神経管閉鎖障害」(二分脊椎)という胎児の先天的な障害のリスクを低下すると言われます。神経管の形成は、受精から1ヶ月程度で完了します。したがって受精後1ヶ月程度の間に充分な量の葉酸を摂取すれば「神経管閉鎖障害」(二分脊椎)の心配は減ります。また妊娠中もずっと、葉酸は母子の健康にとっての不可欠な栄養素となります。
■赤ちゃんの発育に不可欠葉酸は細胞分裂や増殖をサポートするビタミンです。胎児は細胞分裂の増殖が活発で、発育のスピードも速いため、十分な量の葉酸を摂取する必要があります。摂取する葉酸が不足している場合には、低体重児出産や、未熟児での出産、早産などにつながる危険性もあるため注意が必要です。
■妊娠中の貧血を防ぐ妊娠中は、貧血に悩まされる女性も増えます。この時、鉄分の摂取ばかりをイメージしてしまいがちですが、葉酸には造血作用があるため貧血予防のためには必須です。
葉酸は赤ちゃんの発育に欠かせない
葉酸の大きな働きは、細胞分裂・細胞増殖をサポートすることです。赤ちゃんが健康で大きく育つためにも欠かせない働きを担います。
■葉酸で赤ちゃんが発育する仕組み発育とは、活発な代謝や細胞分裂のことです。そして葉酸が担う働きとはまさに活発な代謝や細胞分裂のサポートであるため、特に赤ちゃんの発育に欠かせないといえます。
葉酸の働きは、核酸やタンパク質の合成に関わるものです。核酸は、細胞の核の中にあるDNAやRNAのことで、体を作るための情報が詰まっています。核酸を間違いなくきちんと合成することは「神経管閉鎖障害」(二分脊椎など)と言う先天的障害を予防する上で重要です。胎児の神経管は、妊娠期間中のかなり早い段階で発育しますので、出来る限り「妊娠前から十分な量の葉酸を摂取すること」が厚生労働省からも推奨されています。
「妊娠前」から「授乳期」(出産後)まで、一貫して多く摂取することが厚生労働省から推奨されている栄養素は、葉酸以外にありません。葉酸は「赤ちゃんのビタミン」とも呼ばれますが、妊娠前後の重要度はトップクラスです。
■葉酸で予防できる「神経管閉鎖障害」(二分脊椎)神経管閉鎖障害は、赤ちゃんの脊髄神経が収納されている「神経管」がうまく形成されない障害です。
神経管閉鎖障害が脳に現れたときは、死産する危険性も高い「無脳症」という状態になります。一方、神経管閉鎖障害が脊髄に現れたときは「二分脊椎」と言う状態になり、背中にこぶがあるような状態で誕生します。これは、神経管から脊髄が飛び出してしまっているためです。二分脊椎で生まれた新生児には手術が必要ですが、日常生活における重い障害が残るケースも少なくありません。
葉酸の摂取によって、神経管閉鎖障害(二分脊椎)の可能性を防ぐことができます。厚生労働省や各国からも認められており、少なくとも妊娠の1ヶ月以上前から葉酸をサプリメントなどで摂取すると良いと考えられています。赤ちゃんの神経管の形成は、受精からおよそ1ヵ月程度で行われるため、この時期に摂取することが重要です。
■赤ちゃんは「ママの栄養摂取」が頼り葉酸の摂取は大変重要ですが、お腹の赤ちゃんが自分の意思で補給することができません。赤ちゃんはママが摂取した栄養を頼りに成長します。したがって、不足しないように摂取量を摂取することは、ママが果たすべき大きな責任の1つと言えるでしょう。
妊娠中の貧血を防ぐ
妊婦が経験する辛いことの中には、つわりだけでなく「貧血」も含まれます。葉酸が不足していると、大変しんどい貧血症状が出る恐れもあるため、きちんと摂取するようにしてください。
■葉酸不足でお母さんに生じる恐れがある貧血貧血の90%は鉄の摂取不足と言われています。鉄不足によって赤血球が不足し酸素が体の各部へうまく届かなくなるためです。葉酸には赤血球の合成をサポートする「造血作用」があります。妊娠中は鉄とともに葉酸も胎児の成長で優先的に使われてしまいますので、お母さんに貧血が生じる恐れが高まります。妊娠中、お母さんに起こる「妊婦貧血」と呼ばれます。慢性的な貧血状態は、最終的に赤ちゃんの発育も脅かすことになるため、ぜひとも十分な摂取を心がけてください。
■葉酸サプリのメリット体の中で効率よく吸収されやすい状態になっている点がメリットです。普通の食品に含まれる葉酸は「ポリグルタミン酸」と呼ばれ、そのまま消化することができないので、「モノグルタミン酸」へ分解しなければなりません。一方、ほとんどの葉酸サプリは、モノグルタミン酸の形に調整された葉酸が入っています。したがって効率よく摂取することが可能です。
妊娠中に摂るべき葉酸の量
ここでは、厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準(2015年版)」(*)をもとに、妊娠中に推奨される葉酸の量も確認していきましょう。
(*厚生労働省「日本人の食事摂取基準」http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html)
■推奨量は「通常の2倍」非妊娠時の葉酸の推奨摂取量は、240マイクログラムとなっています。これは、枝豆や芽キャベツの100グラム分に相当します。一方妊娠中は、2倍の480マイクログラムの葉酸を摂取することが推奨されています。単純に、葉酸を多く含む食材を2倍食べる事でも摂取できますが、つわりや体調不良で食欲がない時もあるでしょう。無理して食事の量を増やす必要はありませんので、葉酸のサプリメントを常備しておくと便利です。
■ 葉酸摂取はいつまで続けるべき?妊娠中はもちろん、授乳期間中まで葉酸の摂取を続けることが推奨されています。ただし、産後(授乳期間中)は、妊娠中ほどの葉酸摂取は必要ありません。具体的には1日に340マイクログラムの摂取を目安としてください。これにより、赤ちゃんに必要な量の葉酸を母乳で届けることができます。
また、葉酸の摂取は「母体の回復」の為にも働いてくれます。一説によると、産後数ヶ月後位で発症することがある「産後脱毛」の回復を早めてくれるとも言われていますので、やはり不足しないように摂取することを心がけてください。なお葉酸は熱に弱いビタミンです。葉酸のサプリメントを飲むときには、熱いお湯やお茶よりも水かぬるま湯で飲んだ方が良いでしょう。
■服用中の薬がある方は医師に相談を!葉酸を摂取する上で特に気をつけなければならない方は、特定の薬を服用されている方です。中でも、てんかんの薬を飲まれている方は、体内の葉酸が大幅に消費されている可能性があります。てんかんの薬を飲まれている方は「妊娠したい」と思った段階で、かかりつけのお医者さんなどに相談するようにしましょう。
また、経口避妊薬(ピル)やアスピリンを定期的に服用されていた方なども、今後の葉酸摂取について医師などに指示を受けた方が良いでしょう。以下、葉酸との飲み合わせが良くない薬の一例をご紹介します。
・てんかんの治療薬 血液中の葉酸値が下がることも。具体的な薬の名称は、バルプロ酸塩、フェニトイン、カルバマゼピンなど。
・潰瘍性大腸炎の薬葉酸の吸収が阻害される可能性も。具体的な薬の名称は、スルファサラジン など。
・経口避妊薬(ピル) 葉酸の吸収が阻害される可能性も。生理痛緩和や、低用量ピルなどはニキビ治療にも使用されることがあり、注意が必要。
・解熱鎮痛剤葉酸の効果を減少させる可能性があります。具体的な薬の名称は、アスピリンなど。市販され、簡単に購入できるため注意が必要。
・抗炎症薬 葉酸の吸収が少し妨げられるケースもあるようです。具体的な薬の名称は、スルファサラジンなど。ただし、食事を工夫したりサプリメントで補うようにすれば大きな心配はありません。
・抗生物質 長期間の服用によって、葉酸の造血作用を弱める可能性があります。具体的な薬の名称は、クロラムフェニコールなど。こちらの薬を長い間飲んでいて貧血症状がある方はご注意ください。
・睡眠薬 葉酸の働きに必要な酵素の働きを妨げることがあるようです。具体的な薬の名称は、バルビツールなど。不眠症の治療で利用されることがあります。
・胆汁酸吸収剤 多くのビタミンの吸収が妨げられるので、葉酸以外にも注意が必要です。具体的な薬の名称は、コレスチポル、コレスチラミンなど。
・抗マラリア薬 マラリアの予防薬として利用される薬は、葉酸の働きを弱めることがあります。具体的な薬の名称は、ピリメタミンなど。
・自己免疫疾患/がん治療薬今までご紹介したい薬とは逆に、摂取した葉酸によって薬の効果を弱めてしまう危険性があります。具体的な薬の名称は、メトトレキサートなど。
まとめ
妊娠中に十分な葉酸を摂取しておくこと。それは健康な赤ちゃんの発育と、お母さんの貧血予防に役立ちます。品質管理のしっかりした良質な葉酸サプリメントを取り入れて、健やかなマタニティーライフを過ごしてください。
①葉酸とビタミンB12は「ビタミンB群」の仲間
葉酸とビタミンB12は同じ「ビタミンB群の仲間」のため相性が大変良く、一緒に飲むことで、相乗効果が期待できます。
■葉酸とは?葉酸は水溶性ビタミンの一種で、別名「赤ちゃんのビタミン」とも呼ばれています。胎児の細胞分裂(成長)を促して、正常な発育をサポートする葉酸には4つの働きがあります。・
・貧血予防/改善の働き・動脈硬化を防ぐ働き・成長/発育を促す働き・脳機能改善の働き
胎児の細胞分裂(成長)を促す働きは、妊娠超初期?妊娠初期において重要な役割を担います。特に先天性の「神経管閉鎖障害」の予防に効果的であると広く認められるようになりました。はじめはアメリカ・ヨーロッパなどで認識され、2000年頃には日本でも厚生労働省から「葉酸サプリメントの妊娠前からの摂取」を推奨する通知が出されました。
なお葉酸は、体内の貯蔵量が少ないので毎日摂取を心がけましょう。栄養バランスの取れた食事を心がけ、それでも不足しがちであれば葉酸サプリメントを追加で摂取することも大切です。
■ビタミンB12とは?ビタミンB12は、ビタミンでありながらコバルトと言うミネラルも含んでおり「シアノコバラミン」という呼び名もあります。ビタミンB12の働きは、以下です。
・貧血予防/改善の働き・神経機能をキープする働き・睡眠のリズムを正常化する働き
妊娠中は貧血になりやすいですが、葉酸とともにその予防・改善の働きが期待できます。なお、ビタミンB12は葉酸とは異なり体内で数年分の貯蔵が可能なので、不足することはめったにありません。
■葉酸とビタミンB12は「一緒に摂取すること」がベスト葉酸とビタミンB12には共通点があり、両者は「ビタミンB群」の1つです。ビタミンB群はバラバラに摂取するよりも、一緒に摂取した方が良いとされています。特に葉酸の場合、機能するにはナイアシン、ビタミンB12が必要となります。なおビタミンB群全体を「酵素のサポート」(補酵素)と言い、生命活動の維持に必要な働きをします。
葉酸とビタミンB12はともに造血作用があり、貧血予防には適した栄養素です。食事やサプリメントの摂取でもぜひ工夫してみましょう。
②葉酸とビタミンB12の不足で起きる貧血がある
Getty logo 25b7f2c61b43cc8578dbdb4391bff44f15fecbfdcfd25ce56be1fa24f6dc74a2貧血の多くは「鉄欠乏性貧血」と呼ばれるもので、文字通り鉄分不足が原因の貧血です。一方、妊娠中には普段は滅多にない「巨赤芽球性貧血」の症状が比較的出やすくなります。これらの症状は葉酸とビタミンB12の働きが大きく影響します。
■巨赤芽球性貧血「巨赤芽球性貧血」とは、葉酸とビタミンB12の不足で起きる貧血です。妊娠中は、造血作用のある葉酸・ビタミンB12などが赤ちゃんの成長に優先的に使われてしまいますので、不足しやすくなります。
葉酸・ビタミンB12が不足すると、赤芽球(赤血球のもとになるもの)の細胞分裂が行われず、大きいままの状態で赤血球になる前に壊れてしまい、白血球や血小板など、その他の血球の減少(汎血球減少症)にもつながっていきます。これによって巨赤芽球性貧血の症状を引き起こします。日本人にはあまり見られず、妊婦貧血に多く見られる症状となります。
ちなみに、葉酸は「妊娠女性の巨赤芽球性貧血」の研究をおこなった英・研究者ウィルスによって、「貧血予防物質」として発見された歴史があります。つまり、巨赤芽球性貧血の予防には「葉酸」と、その働きを補い合う「ビタミンB12」の摂取が極めて大切です。
■症状は?顔面が白くなる・頭痛・動悸・息切れ・疲労感・めまい・立ちくらみ・倦怠感など、一般的な貧血症状が出てきます。また「ハンター舌炎」と呼ばれる状態になり、舌に焼けるような痛みを感じることも大きな特徴です。このほか、食欲不振や味覚低下にもつながります。
■予防法&治療法は?ビタミンB12の不足が原因となっている場合は、先ずはビタミンB12の経口投与、原因によっては注射をすることもあります。葉酸も経口投与がメインになります。ただし、いずれも1度だけ必要量をを摂取したら充分というわけではないので、毎日意識して摂取することを心がけましょう。
③「葉酸の過剰摂取」で「ビタミンB12欠乏症」の診断が遅れる
葉酸を過剰摂取すると「ビタミンB12欠乏症」の診断が遅れるケースがあります。これは、ビタミンB12欠乏症の症状が出にくくなるためで、結果として適切な治療が遅れる恐れも出てきます。葉酸とビタミンB12には似た働きをするため、相乗効果が裏目に出ることもあります
■ビタミンB12欠乏症「巨赤芽球性貧血」をはじめ、食欲不振、衰弱、疲れやすさ、便秘、体重の減少といった症状が出ます。さらに記憶力低下、うつ状態、舌や口の痛み、手足のしびれ、など神経系の症状を伴うケースもあります。なお母胎のビタミンB12が不足すると、赤ちゃんの発育遅延につながるとも言われます。
■葉酸の過剰摂取とは?葉酸を大量摂取すると、巨赤芽球貧血は改善されてしまうため、通常のビタミンB12欠乏性の診断が難しくなります。しかし、貧血以外の症状は残り続けますので、見えないところで症状・障害が永続的に悪化してしまうのです。(*)
もっとも、食事から葉酸を摂取する場合には、過剰摂取になることはほとんどないと考えられます。食事に含まれる天然の葉酸は「ポリグルタミン酸」と言って、生体利用効率(体の中で使われる割合)が50%程度です。しかし葉酸サプリメントに含まれている「モノグルタミン酸」は、生体利用効率が80%以上あり飲み過ぎによる過剰摂取が考えられます。具体的な量としては、サプリメント(栄養強化食品)と食事を合わせて「1日1,000マイクログラム以上」の葉酸摂取は避けるべきです。
(*「統合医療」情報発信サイトhttp://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/overseas/c03/14.html)
葉酸とビタミンB12の上手な摂取方法
葉酸とビタミンB12の摂取する方法には、食事やサプリメントがあります。不規則な食生活は良くありませんが、妊娠中はいつでも飲めるようにサプリメントを用意しておくようにしましょう。
■妊娠前後の推奨摂取量は?それでは、葉酸とビタミンB12の推奨摂取量を確認していきましょう。
■葉酸
・非妊娠時(18歳以上)…240マイクログラム・妊娠前(妊娠の可能性がある女性や妊娠計画中の女性)…640マイクログラム・妊娠中…480マイクログラム・産後(授乳婦)…340マイクログラム
■ビタミンB12
・非妊娠時(18歳以上)…2.4マイクログラム・妊娠中…2.8マイクログラム・産後(授乳婦)…3.2マイクログラム
なお、妊娠前の女性は、食事だけでなくサプリメント・強化食品でも補助的に葉酸を摂取することが推奨されています。具体的には「240マイクログラム分…食事」+「400マイクログラム…サプリメント・強化食品」という形で摂取するとよいでしょう。
■食事での摂取葉酸とビタミンB12を不足なく摂取するには、それらの栄養素を豊富に含む食材を知っておくことがベターです。葉酸を豊富に含む食材と、ビタミンB12を豊富に含む食材が重なっている場合もありますので、このような食材を積極的に選ぶと良いでしょう。
【葉酸の豊富な食材】・レバー:にわとり生 1300μg・モロヘイヤ:生 250μg・ほうれんそう:生の葉 210μg・枝豆:生 320μg ・アスパラガス: 若茎 油いため:220μg・いちご:90μg・アボカド:84μg・ライチ:100μg・マンゴー:84μg・鶏卵(全卵・生):43μg・アーモンド:65μg【ビタミンB12の豊富な食材】・レバー:にわとり 生 44.4μg・かつお:削り節 21.9μg・すじこ:しろさけ 53.9μg・ほしのり:77.6μg・しじみ:水煮 81.6μg
「レバー」は、葉酸やビタミンB12ほか、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ナイアシン、など、ビタミンB群を豊富に摂取できる優良食材です。牛や豚も良いですが、葉酸の含有量だけで選ぶならば「鶏レバー」はダントツとなっています。
(上記は食品100グラム中の成分量)
■サプリメントでの摂取ビタミンB群は複合的に摂取しましょう。サプリメントを購入する際は、1種類ずつ集めるのではなく「ビタミンB群」と書かれた製品を選ぶのがポイントです。ただし妊娠前の女性は、葉酸の推奨摂取量が通常よりも増大するため、ビタミンB群に加えて葉酸だけのサプリメントを揃えておくと良いでしょう。
また葉酸の効率的な摂取のためにもう一つ、欠かせないのは「ビタミンC」です。ビタミンB群は、摂取しただけの状態では働けず、1度体内で働ける状態(活性型)に変換されなければなりません。ビタミンCは葉酸を活性型に変換します。野菜や果物からビタミンCを摂取するのも良いですが、不安な際にはサプリメントで摂取するとよいでしょう。
妊娠中・産後に摂りたい栄養素「葉酸」
「妊娠中に葉酸の摂取が大切」ということが広く知られるようになりました。しかし、葉酸がどのような働きを持つのか、不足するとどのようなことが起きるのかわからないという人もいるのではないでしょうか? なぜ妊娠中や産後に葉酸が必要なのかを解説します。
■まずは葉酸の働きをチェック葉酸は、特に細胞分裂やDNAの合成などに大切な役割を果たす栄養素。造血作用のほか、ホモシステインの増加を抑制する働きもあるため、老廃物の排出、巨赤芽球性貧血の予防、動脈硬化の対策にも欠かせません。妊娠初期には葉酸が着床を促す働きや、胎児の細胞分裂を促進する作用、胎児の先天異常を予防する働きがあります。
葉酸が必要なのは、妊娠中だけではありません。母乳のもととなる血液を作る働きもサポートするため、産後も大切な栄養素です。ママだけではなく、生まれたばかりの赤ちゃんの成長にも、葉酸は欠かせません。粉ミルクの中にも、「葉酸」は含まれているものもあります。
■葉酸を多く含む取り入れたい食品葉酸が多く含まれる食品は、レバーや枝豆、ブロッコリー、モロヘイヤ、納豆、いちご、ライチ、アボカドなどです。フルーツに比較的多く含まれているので、食後のデザートやおやつのときに摂取するのがおすすめです。口当たりのよいフルーツであれば、つわりで食欲がない時でも食べることができそうですね。
摂取するのに気を付けたほうがいいのは、「レバー」です。レバーは栄養が豊富な食材ですが、妊娠中の過剰摂取に気を付けたいビタミンAも多く含んでいるため、摂取量には気をつけるようにしましょう。食品だけで必要な量の葉酸を摂取するのが難しい場合は、不足分をサプリメントで補うのもおすすめです。
■葉酸が体内に不足するとどうなるの?葉酸が不足すると、口内炎や食欲不振、下痢などの症状が現れることがあります。必要な量の血液を作ることができないため、巨赤芽球性貧血(悪性貧血)になる可能性も。葉酸はDNA形成など身体の重要な働きを果たすため、妊娠中に不足すると、胎児の発育が障害を受ける可能性も高くなります。特に妊娠初期に葉酸不足になると、神経管閉鎖障害のリスクも高まるとされています。
■葉酸の1日の摂取量の目安はどれくらい?妊娠中の女性が1日に摂取しておきたい葉酸の推奨量は「480μg(マイクログラム)」です。妊娠していない場合は240μgなので、通常の2倍もの葉酸が必要ということになります。
480μgを摂取するためには、納豆(100g中120μg)であれば8パック(1パックで約60μg)、モロヘイヤなら約200g(100g中250μg)、ブロッコリーなら400g(100gあたり120μg)、ライチなら500g(100gあたりμg)100が必要となります。多く含まれる食材を組み合わせて、毎日継続的に取り入れましょう。
葉酸サプリメント摂取の効果的な時間帯
これまで、妊娠中に葉酸が必要な理由や1日に必要な量を説明してきました。でも忘れてならないことのひとつに「摂取するタイミング」があります。効率的に身体に取り込むために、どのような時間帯に飲めばよいのでしょうか。
■ボトルには飲むタイミングが書かれていない葉酸サプリのボトルを見てもらうとわかるのですが、「食前」「食後」「1日〇回」と飲むタイミングや量については明記されていません。これは、サプリメントはあくまでも健康補助食品であり、「薬」ではないため。食品であるサプリメントが、薬と間違われないようにするために、あえて具体的な飲む時間などを指定していないのです。
■効果的な摂取時間帯とは?ボトルには飲む時間は書かれていませんが、それぞれのサプリメントにもベストな摂取のタイミングがあります。葉酸サプリを効率的に摂取するためには、食事と食事の間の「食間」がベスト。胃の中に何もない状態の空腹時の方が、吸収率が高まるからです。朝食と昼食の間、昼食と夕食の間などに飲むようにしましょう。
特に効果的な時間は、就寝前。就寝前は肝臓の血流が低下し、サプリの有効成分が多く血液の中に吸収されやすい状態になるといわれています。
■胃が弱い人は時間を考えてサプリの効果を高めるために、胃の中に何もない「食間」に飲むのがよいのですが、胃腸が弱い人はその限りではありません。胃腸が弱い人は、空腹時にサプリを飲むと胃の負担になる場合があるからです。空腹時には胃液の分泌が少なくなるので、サプリの錠剤が溶けにくくなります。それにより、胃痛を引き起こす可能性もあるのです。
胃が弱い人の場合は、吸収率が高まるからと無理に食間に飲むのは避け、食後に飲むようにしましょう。食べ物と同時に吸収できるように、食後30分後までには飲むようにします。
■一度に摂取できる量には限りがある「昼間、サプリを飲むのを忘れちゃった! 夜にまとめて飲めばいいかな」と、就寝前などににまとめて飲んだ経験はありませんか? 葉酸は水に溶ける水溶性のビタミンです。水溶性ビタミンは、一度に多く摂取しても、体内で蓄積されず、余った分は尿として排出されてしまうという特徴を持っています。体内にしっかり吸収させるためには、数回にわけて体に取り入れることが大切なのです。
葉酸サプリを飲むタイミングとしては、朝、昼の間に1回と昼と夜の間、寝る前とそれぞれ1回ずつ。ただし、胃が弱い人の場合は、食後に飲むようにするのがおすすめです。
葉酸を効果的に摂取するための3つの裏ワザ
葉酸サプリを効果的に摂取できるタイミングは食間(胃が弱い人の場合は食後)ということがわかりました。では、食品の中に含まれる葉酸の吸収率を高める食べ方はあるのでしょうか?
■ビタミンCと一緒に摂取するのがおすすめ葉酸はビタミンCと一緒に摂取することで、吸収率がグンと高まります。ビタミンCが多く含まれている食材は、赤ピーマンはいちご、モロヘイヤ、キャベツ、キウイフルーツなど。モロヘイヤやいちごは、ビタミンCだけでなく、葉酸も多く含まれています。毎日の食事のメニューに多く取り入れていきたいですね。そのほか、ビタミンB6、ビタミンB12も葉酸との相性がいいビタミンです。
また、葉酸は水に溶けるビタミンなので、茹でる調理をすると、せっかくの栄養が摂取できないこともあります。そのまま食べるほか、加熱するなら電子レンジ、蒸す、炒めるといった調理方法がおすすめです。
■鉄分やカルシウムの摂取も心がけよう葉酸のほかにも、妊娠中に重要な栄養素はたくさんあります。特に不足が心配されるのが「鉄」と「カルシウム」です。鉄が不足すると、母体が貧血となってしまうため、1日に20mgを摂取するようにしましょう。カルシウムは、骨や歯のもとになる栄養素。不足したまま出産すると、産後に母体の骨や歯がもろくなってしまう可能性もあります。小魚や乳製品などカルシウムを多く含む食材を摂取し、1日あたり900mgを毎日取り入れるようにしましょう。
■何よりも継続して葉酸摂取することが大切妊娠前や妊娠初期に特に大切な葉酸ですが、細胞の分裂に大きく関わる栄養素のため、妊娠中は継続して摂取するようにしましょう。妊娠後期になると、胎児の成長のために母体の血液量はグッと増加。造血を促す葉酸は、ここでも大切な役割を果たします。出産後も母乳のもととなる血液を作るのに、葉酸の力は欠かせません。産後の母乳の出やつまり、抜け毛などの対策にも、効果が期待できると言われています。
また、葉酸は水溶性ビタミンなので、身体の中に蓄積できません。不足しないよう継続して飲み続けることが何よりも大切です。
葉酸の吸収を妨げるものとは?
葉酸の吸収を高める栄養素もあれば、反対に妨げてしまうものもあります。効果的にサプリの効果を発揮するために、吸収を阻害するものを知っておきましょう。
■併用すると吸収が悪くなる可能性があるものとは?「亜鉛」のサプリは、同時に摂取すると葉酸の吸収を妨げると言われています。亜鉛も妊娠期に大切な栄養素ですが、葉酸の輸送を阻害してしまいます。亜鉛のサプリも取り入れたいという場合は、飲む時間をずらすなどしたほうがいいでしょう。
また、葉酸と飲み合わせが悪い薬もあります。尿路感染症の治療に用いられる「トリメトプリム」、血中のコレステロールを減らす薬剤「コレスチラミン、コレスチポル」、不眠症の治療に使われる「バルビツール」、抗生物質の「クロラムフェニコール」、解熱鎮痛剤の「アスピリン」などです。薬を処方されている場合は、葉酸サプリとの相性について、薬剤師や医師と相談しておくと安心かもしれません。
薬を飲む必要がある場合は、葉酸の吸収を阻害しないように、少なくとも4時間は空けるようにして、葉酸サプリを摂取するようにします。
■必ずサプリは水で飲むことを忘れずに緑茶や紅茶、コーヒーなどに含まれるカフェインやタンニンも、葉酸の吸収を妨げます。サプリを飲むときは、お茶などで代用せず、必ず水で飲むようにしましょう。水には、適度に胃を刺激させる働きがあるため、一緒に摂ることで栄養を腸へと移動させ、体に吸収させやすくなります。水の量も少量ではなく、コップ1杯の水は飲むようにしましょう。
また、サプリを飲む時間を考えて、その前後はカフェインやタンニンを含む飲み物の摂取は避けたほうがいいでしょう。
「妊婦貧血」ってなに?
妊娠期間中の貧血は「妊婦貧血」とも呼ばれ、非妊娠時の貧血とは区別されることがあります。これは「妊娠期間中はどうしても貧血になりやすい」という事情があるからです。したがって、妊娠したら葉酸の摂取量を適切に増やすなどしないと、簡単に貧血になってしまう恐れがあります。
■妊娠期間は貧血になりやすい妊娠期間中に貧血になりやすい理由をご説明する前に、皆さんはそもそも「貧血とは何か」をご存知でしょうか?よく、貧血を説明する時に「血が足りない」などと表現されますので、血液の量が通常よりも少なくなっていると思っている方もかなり多いと思われます。
結論から申しますと、貧血とはほとんど「酸欠」に近い症状です。貧血の方は、血液中のヘモグロビンや赤血球の量が、通常よりも少なくなっています。ヘモグロビンや赤血球の働きは、体に取り入れられた酸素を全身へ運搬することですから、不足すれば細胞に酸素が送られなくなってしまうわけです。実際に、貧血の症状としては「顔面蒼白、立ちくらみ、頭痛、動悸、息切れ、めまい、頭がぼーっとする」などがありますが、これは酸欠時の症状ともだいぶ重なります。
さて、妊娠期間中に貧血になりやすい理由は「血液が薄まっている=赤血球濃度が低下している」からです。赤ちゃんが大きくなるにつれ、母体のトータルの血液量は増加しますが、赤血球の生成が追いつかないことも一因と考えられます。さらに、造血成分が胎児の成長に優先的に回されてしまうことで、より妊婦さんが貧血になりやすい条件が揃うのです。
■貧血の種類貧血には、実は多くの種類があります。妊婦貧血の原因はほぼ特定できますが、以前から貧血ぎみだとという方は、他の可能性も知っておいた方が良いでしょう。
■鉄欠乏性貧血貧血の主要な原因として考えられるのは「鉄欠乏性貧血」です。その名の通り、鉄分の摂取不足によって貧血が引き起こされます。通常は、偏食や極端なダイエット、外食やインスタント食品の多い食生活などで、単純に鉄の摂取量が不足することが原因です。このほか生理(月経)の多い方なども鉄不足になることがありますが、妊娠中の鉄不足は無自覚のまま進行する危険性もあります。
■巨赤芽球貧血赤血球の生成に必要な、葉酸やビタミンB12が不足することで起こる貧血です。通常は、よほどのアルコール好きや偏食家でない限り葉酸不足になることは少ないのですが、妊娠時はそのリスクが増すと考えてよいでしょう。
■溶血性貧血赤血球にはもともと4ヶ月程度の寿命しかありません。したがって、赤血球の生成に必要な栄養素を常に不足なく摂取する必要があります。しかし溶血性貧血では、何らかの理由で赤血球の寿命が短くなってしまうのです。代表的な理由としては、先天的な赤血球の変形や後天的な自己免疫性疾患で起きることが多いですが、マラソンなどの長距離走の選手にも見られます。近年では、ジョギング・マラソンがブームとなっていますので、一般の方でも溶血性貧血になる可能性があると考えられます。
■再生不良性貧血骨髄の働きが低下し、血液がうまく作られないことで発生する貧血です。こちらの病気であることが発覚した場合、専門医のもとで、適切な治療を受ける必要があります。
妊婦貧血の原因として多いと考えられるのは「鉄欠乏性貧血」と「巨赤芽球貧血」の2つと考えられます。
葉酸がどうして貧血対策になるの?
妊娠期間中の貧血の原因は「造血成分の需要が増しているから」と言うことができます。これはもちろん、赤ちゃんを育てるために必要だからです。ママが摂取した栄養素は、もはやママだけのものではありません。葉酸をはじめ、鉄などの造血成分は、へその緒を通じて赤ちゃんへ優先的に届けられます。
■秘密は葉酸の「造血作用」葉酸には「造血作用」という働きがあります。これは文字通り血液を作る働きのことで、具体的には、「赤芽球」の生成をサポートします。赤芽球は「赤血球のもとになるもの」ですから、貧血予防・解消には不可欠な成分の1つと言えるでしょう。
■一緒に摂取したい成分貧血の改善貧血の改善・予防に役立つ栄養成分は葉酸だけではありません。以下に、貧血ぎみの妊婦さんに「きちんと摂取できているか」を確認していただきたい栄養成分をまとめました。
■鉄すでにご紹介した微量ミネラルの1つです。もともと、不足しがちなミネラルとして知られています。鉄は、タンパク質とともにヘモグロビンの主成分となりますので、常に不足しないように摂取する必要があります。ちなみに、鉄はあらゆる食材に含まれますが、吸収率の良い「ヘム鉄」は肉や魚に含まれます。肉や魚をあまり食べない、そもそも好きではないという方は、鉄のサプリメントを常に用意しておく必要があるでしょう。
■タンパク質赤血球・ヘモグロビンのもとになりますから、良質なタンパク質を摂取するようにしましょう。1度ににたくさん食べても、体内に貯蔵はできませんので、毎日適量を摂取する必要があります。肉、魚、卵はもちろん、大豆製品や乳製品も良質なタンパク源になります。
■ビタミンB12葉酸とともに造血作用を持つ成分です。ちなみに、葉酸はビタミンB群ですので、ビタミンB12とは仲間です。ビタミンB群は1つだけ摂取するよりも、複数で摂取した方がお互いの働きを高め合ってくれますから、葉酸とはベストマッチのビタミンと言えます。
■ビタミンC葉酸を活性型に変換してくれるビタミンですので、一緒に摂取できるとベターです。ちなみに、非ヘム鉄(野菜や果物に含まれる、あまり吸収率のよくない鉄)は、ビタミンCと一緒に摂取すると吸収率を高めることが可能です。
葉酸をどれくらい摂取したらいいの?
■1日の推奨摂取量葉酸の1日の推奨摂取量は、妊娠前後によって大きく変化します。妊活中の方もご覧になっていらっしゃることでしょうから、妊娠前後の「葉酸の1日の推奨摂取量」を以下にご紹介します。
・非妊娠時の女性…240マイクログラムを食事で摂取
・妊娠前の女性(妊娠の可能性がある女性や妊娠計画している女性)…640マイクログラム(240マイクログラム分は食事で、400マイクログラムはサプリメント・強化食品で摂取)
・妊娠中の女性…480マイクログラム
・産後の女性…340マイクログラム
「日本人の食事摂取基準(2015年版)」(厚生労働省)を見ますと、「妊娠前以外は、基本的に食事からの葉酸摂取で大丈夫」とされています。しかし、妊婦さんはつわりや食欲の波で、きちんと食事をできないことも珍しくありません。このように考えますと、どのような状況でも葉酸が不足しないように「サプリメントは常に手元に置いておくこと」が安全といえます。完全なサプリメント頼りも問題ですが、サプリメントを上手に使うことで葉酸不足を避けることが可能です。
■摂りすぎは良くないの?ママの貧血を防ぎ、赤ちゃんの成長を支える、大変魅力的な栄養素「葉酸」。しかし、どんなに重要な栄養素だからといって「摂取すればするほど効果が強まる」と言うわけではありません。あくまでも1日の推奨摂取量を目安に「摂りすぎないこと」が大切です。
それでは具体的に、摂取の上限量がどれぐらいかといいますと「1,000マイクログラム」です。これは、少々食事を食べ過ぎた位で達するような量ではありませんのでご安心ください。ただし、サプリメントを1度に大量服用するなどすれば、不可能な摂取量ではありません。特に葉酸を長期的に大量服用した場合は、「生まれた赤ちゃんのアレルギーリスクが高まる」と言う指摘もあります。いずれにしても、葉酸の摂りすぎには何のメリットもありませんから、避けるべきといえます。
葉酸は「妊娠前」から摂取したい!
葉酸の推奨摂取量は、妊娠前から大幅に増大します。このことを知らないと、貧血の原因になるだけではなく、赤ちゃんの先天的な障害の原因にもなるのです。妊婦さんにとって、葉酸は「最重要栄養素の1つ」といっても過言ではありませんが、それをご存じない方もいらっしゃるようです。
■葉酸の重要性を知らない妊婦さんが多い?葉酸の摂取は「神経管閉鎖障害のリスクを低減する」ことが、広く世界的に認められています。神経管閉鎖障害は胎児の先天障害の1つで、神経管がうまく作られないことによる障害を指します。神経管閉鎖障害の中でも「二分脊椎」は、将来的な障害や合併症といった後遺症を残す要因となります。しかし、葉酸をきちんと摂取するだけで、そんな先天障害のリスクを低減することができるのです。これは素晴らしいことですが、そんな「葉酸の重要性」を知らない妊婦さんもまだまだ多いようです。
「日本の環境と子供の研究:JECS」には、国内の1万人の妊婦さんを対象とした「葉酸の摂取状況調査」の結果が報告されています。「妊娠前4週?妊娠12週までの葉酸サプリメントの内服率」は、たったの7.4パーセントという結果になりました。
この調査は平成15年?平成20年にかけて行われた調査ですので、今は葉酸サプリメントをきちんと飲む妊婦さんも増えているかもしれません。しかし、ここ数十年での「低出生体重児の増加傾向」なども考えますと、まだ妊婦さんの間に充分には浸透していないのが現状と言えるでしょう。
■妊娠中期?後期の貧血に気をつけて!医師や専門家によっては、「妊娠中期?後期にかけて妊婦貧血が増える」と考えるケースもあります。葉酸や鉄などの造血成分が胎児の成長に使われ続けている以上、妊娠中期?後期にかけて妊婦貧血になりやすくなる可能性は十分にあると言えるでしょう。
ちなみに「なんとなく感じている不調」の原因が、実は「貧血の初期症状」であったという事例も少なくないと考えられます。なんとなくぼーっとしたり、疲労感やだるさが抜けなかったり、イライラや寝付きの悪さが続いたり、立ちくらみ、めまい、耳鳴りがしたり…。「妊娠のせいで疲れているんだろう」と納得してしまいがちですが、実は、葉酸や鉄などの「造血成分不足」という可能性も疑っているみるべきでしょう。